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●内臓周囲へのオステオパシー的アプローチ
オステオパシーで生理痛の緩和が期待できるのは機能的な生理痛がメインです。
では生理のメカニズムに合わせた機能的アプローチを紹介します。
施術を行う日:生理が終わった2日後から5日後くらい
理由:
生理前には全ての体液循環が停滞しがちです。
これは正常な反応ですが、この時期に施術をすると患者さんの体が緊張して治療反応が良くないことがあるからです。
こうした法則を知った上で、生理後の治療反応が良い時期をお勧めするわけです。
この考え方は生理後から組み立てるダイエットプラン(減量計画)と同じです。
実際の手順;
骨盤や腰痛、腹痛これらの症状が体のどの部位に生じるかを問診。
骨盤腔の内圧が強くなっている側が大まかに予測できます。
左の腰痛や下腹部が多いなら生理時に骨盤腔の左側に何らかの血流制限があって、痛みが生じ易いことを意味します。これはこの部位の触診で確認できます。

*骨盤内臓器(前面から) *骨盤内臓器(真上から)
制限側が確認できたら、抑制バランス検査で他の部位の制限や緊張との関係を必ず比較します。この検査を行わずにいきなり骨盤周囲にアプローチするのは良くありません。例えば
・子宮と小腸
・子宮と仙骨
・子宮と膀胱
・子宮周囲の筋膜、靭帯、筋肉、血管など
・子宮頚部への力学的な圧迫
などの制限要素を比較します。左の図を見て下さい。
下垂した小腸が子宮体の上に乗っかるのが分かるでしょう。すると腸間膜を通る血管網や子宮頚部は圧迫されがちになります。
子宮周囲の緊張は脊椎分節へも投影されていて
・子宮体の緊張(子宮筋の痙攣、子宮全体の強縮)⇒胸腰椎周囲の痛み
・子宮頚部の圧迫、緊張⇒仙骨後面の痛み
として表れますので、子宮のどの部位に緊張があるかの目安になります。
現代医学では機能的な生理痛の原因として「子宮頚部が細くて硬い」、「子宮口が成熟していない」と指摘することがあります。
しかし、これらの構造への機能的な圧迫を考慮することはほとんどありません。
オステオパシーでは、服の上から皮膚を介してこれらの圧迫要素を触診で調べ、治療していきます。
驚くことに骨盤内臓の圧迫は稀ではなく、大半の女性に見られるものです。
これが問題で生理痛が起きている場合はオステオパシーのアプローチは有効と言えるでしょう。
面白い話があります。
馬のような4足動物は、赤ちゃんの重みを四肢からぶら下がるお腹の筋膜の緊張で保持します。
しかし、人間は2足歩行のために赤ちゃんの重みは前面の腹部というよりも子宮頸部や骨盤内の筋膜靭帯、ソケイ部、腰椎、仙腸関節などにかかります。(重力線の中心に負荷をかけようとする)
それゆえ人間の子宮頸部には強固な線維質が発達しており、そこへ圧迫がかかるとお産の時に陣痛が起きても容易に子宮口が開かない原因となるそうです。
この作用は生理時にもあてはまります。
子宮が収縮して経血を出そうとしても、周囲の圧迫があり子宮口と頚部が閉じていては陣痛様の痛みが生じてしまう訳です。
このような方の生理痛は出血が始まる直前に痛みのピークがあり、生理が始まると少し楽になるという特徴があるようです。
臨床で感じるのは
・左側の骨盤の緊張(ロック)
・左側のソケイ部の緊張(血管のうっ滞)
があると生理痛の重さを訴える方が多いということです。
多くの人で左側の骨盤は重心足側であり、こうした慢性の負荷パターンが股関節、骨盤を介して内臓や周囲の血流に影響するのでしょう。
骨盤の制限側を適度にゆるめてあげると、その後2回目の生理くらいから「痛み止めが必要なくなった!」という嬉しい声も頂いています。
月経困難症の様に重度の痛みがある場合は、生理が来ることへの過度のストレスで交感神経の緊張パターンが出来上がっています。この様な患者さんの頭蓋を触診すると、頭蓋の生理的動きがほとんど消失していることがあります。
かなりの精神的ストレスが絡んでいるのでしょう。これでは脳下垂体から分泌されるホルモンにも異常が出てしまいそうです。
こうした場合、治療周期を綿密に計画してホルモンや神経の中枢がある頭蓋や脳幹へのアプローチを含めて行います。
オステオパシーの治療はあくまで全身の機能低下を改善することが目標で、生理痛のみへのアプローチにはなりません。
最近、骨盤の歪みを治せば、生理痛や生理不順が治ると注目されています。
それは下肢や腸骨の調整を介して、骨盤内臓(子宮を含む)周りの間膜や靭帯の緊張が取れ、仙骨と腰椎分節から命令を受ける神経、血流コントロールが正常になるからです。
2005/10/23
K.Shirasawa,MRO(J)
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