Osteopathic Approach and Clinical Reports of  OMT 

オステオパシーの臨床症例とそのアプローチ

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臨床報告とアプローチ

 

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上腹部の膨満感、お腹が張る、空腹感が無い。

 

 

 

上腹部の膨満感は消化管内(主に胃と小腸)に溜まったガスによる生じます。

このガスの発生には消化管内での食物の発酵が関わりますが、

この反応は正常な人でも

 

・胃腸内での食塊の停滞時間が長い

・胃腸内での消化不良(イモ類や食物繊維の多食,タンパク質食品と炭水化物食品の不適当な食べ合わせなど)

・早食い,ドカ食い,食休みを全くしない

 

などの習慣によって容易に起こります。こうした食習慣は慢性的な消化不良を

引き起こす土台になるので,ご自身の管理が必要です。

しかし、こうした習慣がないのにも関わらず上腹部の膨満感がある場合は

オステオパシー治療が勧められます。

 

上記の食塊発酵説はある程度信憑性はありますが、どこか信じるに足りません。

発酵するまでには最低5、6時間位はかかるでしょうから、これでは

食後すぐに起こる膨満感」を説明しきれません。

 

オステオパシー的な観点で見てみましょう。

まず上腹部の膨満感の基盤として

 

「胃・小腸血管網における血流の停滞」

 

が考えられます。

食後は胃腸への血管が拡張して,消化・吸収作用が促進されます。

この時,末梢での血流(例えば上肢や下肢)と表層での血流は一旦減少します。

食後30分も立てば血流は徐々に表層や四肢に行き渡り,胃腸内への供給は減ってきます。これが体に本来備わる全身性の血管協調システムです。

 

問題は胃腸への神経・血管コントロールが何故かうまく出来ない場合です。

食後に血管網は拡張したままとなり、血管運動コントロールが働かず血流が極度に停滞します。これだけでも腹腔内圧を高める要因になるでしょう。

また小腸壁の蠕動運動も同時に不足していますので,食塊がずっと停滞して空腹感を感じにくいのです

これらの神経コントロールは交感神経(胸椎分節T5-9)と副交感神経(迷走神経)によって主に行われていますので、この関連部位の異常は治療を通して改善される必要があります。

 

食後は胃腸周囲の血中に溶け込むガスの容量が一時的にかなり増えます。

科学的な法則として,液体に溶けるガスの容量が増えると液体の温度と圧力が上がります。上腹部の膨満感を訴える方の多くは,お腹から上の血圧と体温が高くなっているでしょう。そして上半身で汗をかきやすいという自覚症状もあるかと思います。

これは胃腸周囲での血流の停滞と血圧の増加を,胃から上の表層の発汗(熱抜き)で調節しているわけです。

逆に下肢は冷えがひどいといったお悩みもこれで少し理解できると思います。

この血管調節システムは消化管自身の中でも働いており,ガスは以下の2つの部位から抜けています。

 

・腸粘膜

・拡張した小血管網

 

その結果,ガスは血管内に出来るだけ停滞せず,負担の少ない消化管に溜まり、上腹部の膨満感として表れるのです。治療としては,

 

・全体検査における優位病変の正常化

・症状に絡んでいる機能的病変の正常化

 

を必ず一緒に行います。

 

・胃腸を支配する交感神経分節・・・中部胸椎

・胃腸を支配する副交感神経(迷走神経)ルート・・・頭蓋,上部頚椎,胸郭内

・胃腸に関係する脈管(血管の緊張,血流,リンパの流れ,詰まりなど)

・胃腸と隣り合う臓器との間膜

 

の異常は緩和されるべきでしょう。また胃腸は胸腹腔内に収まっており,

 

・下方では骨盤とその臓器

・上方では胸郭(肋骨や横隔膜や心膜,肺などを含む)と首の筋膜

・上肢から肩,体幹へ伝わる緊張

 

などの影響を複雑に受けています。

ある患者では肘の緊張を緩めただけで、腹部の張りが引いてきてお腹が平らになり、翌日から食欲が正常になったことがありました。この方の場合は、肘から胸腔にかけての緊張が問題だったわけです。

もちろん胃は繊細な臓器ですから心理的なストレスも影響しているでしょう。

それらの結果として上腹部の膨満感が出ていると考えます。

ですから治療手順は単純ではありません。

症状が上腹部の膨満感であっても全体検査を怠らないことが,正しいオステオパシーの評価と治療に繋がっていきます。

 

2005/10/19

K.Shirasawa

 

 

 

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