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腰椎の椎間板ヘルニアを例に考えてみましょう。
左図の血管(静脈は書かれていないがほぼ同じルートにある)は、腹大動脈から分岐する腰動脈を示します。腰椎の前面で小さな血管と吻合し、その高さの椎間関節や椎間板に供給しています。(実際は毛細血管からの血漿成分の浸透でしょう)
上部腰椎(L1,2,3)前面は、大腰筋や横隔膜の脚、十二指腸の筋膜も付着していてオステオパシー病変の多発部位です。
下部腰椎(L4,5)は下肢からの力学的緊張と重力の応力がもっとも加わる部位で捻れや圧迫病変が多くなります。そして椎間板ヘルニアはこの下部腰椎に起こることが多くなります。
右図は椎骨を後方から見た図です。
椎体前面から入り込んだ小血管が椎体後方(つまり椎間板の後、髄核が飛び出る方)に向かって供給しているのが見えます。椎間板ヘルニアと診断されると「椎間板の圧迫」とか「どこの神経根が圧迫されて」とか言われます。
しかし、前面からの血液循環が確保されているかどうかについては、医者はほとんど触れないのです。
血液供給がある程度確保されれば、各種の白血球や破骨細胞が集まってきて損傷部位の大掃除をしてくれます。これにより圧迫されて狭くなった椎間孔のスペースが広がります。回復に伴い、レントゲン上でも明らかな変化として確認できます。
動脈血は栄養や酸素を運び、静脈とリンパ管は老廃物と代謝産物を回収しています。つまり、こういった脈管は細胞の生命の根源なのです。
しかし、この血管に圧迫や緊張が持続的に加わるとその先の血流が減少し、損傷した椎間板や飛び出た髄核の修復が遅れ、椎間孔周囲に炎症後の浸出物と老廃物が蓄積します。
これが椎間孔のスペースが狭くなる要因なのですが、現代医学では盲点になっています。
画像診断で圧迫が確認できないと医者には「異常ないよ」と言われます。
しかし、実際に椎間板ヘルニアだと診断されても、椎間板への血流を地道に促進させる治療を行い、長年の下肢の痺れや痛みが緩和することが結構あるのです。
治療では、血流促進に加えて腰椎自体にかかる全身の力学的バランスも調整することになります。椎間板への血液供給は構造上もともと少ない上、椎間板に重力のかからない仰向けの睡眠時しか回復期間がないという点を忘れないで下さい。
この短い回復期間を最大限活かすにはこの部位への血流を最大限促進する以外ありません。
幸い、オステオパシーには腹部(前面、内臓)から行う安全なテクニックがあるので、こうした血流回復アプローチが可能です。
椎間板ヘルニアの痛みに関しては、このようなアプローチも一つの選択として試みるべきでしょう。特に小腸や腸間膜の緊張や周囲との癒着が解放されると、腰全体の動きまで楽になっていきます。
もちろん、内臓を覆う何層もの筋膜を介して腰椎前面にアプローチするには、オステオパシーの専門知識と解剖学、ある程度の触診能力が必須になります。
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