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図1;股関節の靭帯と骨盤底筋群の連結
股関節とソケイ部の痛みと違和感は妊娠中の女性、骨盤内臓の外科手術後に頻繁に生じます。
妊娠中に生じる痛みは、胎児の成長に伴う骨盤腔の内圧増加が要因です。
外科手術後に生じる痛みは、手術で損傷した筋膜組織(内臓を覆って、繋ぎとめている組織)がその後不自然に固定・修復された結果起こります。
損傷部位が周囲の組織と馴染めないまま、痛覚を刺激してしまうのです。
この時筋膜が本来持つ生理的な滑走運動は失われており、内部で血液やリンパの循環障害が起きています。
骨盤内の筋膜は股関節周囲へと繋がっていきますので、当然股関節にも影響が出るのです。(図1)
妊娠時や外科手術後などの場合は骨盤内臓の周囲組織の治療が股関節に先がけて必要になることが多いと思います。
私の経験では股関節の病変は先天的な構造の問題(奇形、骨の捻れなど)を除いて、ほとんどが二次的であり、たいていは足や膝、内臓の調整により痛みが和らいでいきます。

図2;股関節を通過する神経血管束 図3;それを覆う筋膜の連続
私のアプローチにおいて特徴的なのは、筋膜の連続性を意識して血管ルートの解放まで行う点です。筋肉を緩める操作は血管ルートを開放することで、より効果的になるからです。
上の図2,3を見て下さい。
股関節の前面で下肢への重要な神経血管束(大腿N・A・V)が通過するのが分かります。股関節周囲は何層にも及ぶ筋肉群がありますが、これらの層の仕切りをしているのが筋膜でその内部には血管やリンパ管が豊富にあります。
損傷した組織を回復させる第一のステップは
・
血流(細胞の栄養、酸素、代謝産物の回収)
・
休息
の二つです。各種の白血球やマクロファージなどの大食細胞、破骨細胞などは血流に乗ってやって来ます。そして損傷部位の大掃除と修復を始めます。
股関節部の重用な病理に「大腿骨頭の壊死」がありますが、血流回復させていくうちに手術せずに治ってしまったことがありました。
これは医師の診断が間違っていたわけです。
私の考えでは、レントゲンやMRIなどの画像診断は関節内部の循環が極度に低下すると、蓄積した老廃物のために診断が正確ではなくなります。
関節内部の循環が低下していると、周囲の靭帯や滑膜、関節包などが少なからず癒着して固まっており、関節内部の排液が出来ません。
深部の循環の悪さは神経系を介して、むくみや筋の緊張として出てきます。
ところがどうでしょう?
一般の治療院に行っても表面的な筋肉のほぐしはしてくれても、関節の深部までは調整してくれないのです。
関節の調整とは周囲の筋肉や靭帯を整えて、関節に動きを付けて終了ではありません。関節内に潤滑油を入れていく作業、つまり血液(関節内では滑液)を循環させてあげるのが理想です。そうしないと治癒力の高い人や若い活力ある人以外は回復レベルに達しないものです。
私は血管束を豊富に含む筋膜の捻れや緊張を、表層から深層へと段階的に治療していきます。これはとても根気のいる治療技術です。
例えば片側の股関節だけでも、血液供給をある程度回復するには最低20分は必要です。関節内の血液循環促進はお年寄りや体力の落ちた外科手術後の患者さんに対して特に効果的です。
筋力トレーニングなどは違和感や痛みが薄れてきてから始めるべきです。
そうでないと股間節深部の循環障害が残ったまま、質の悪い筋肉(疲労しやすい、筋肥大しやすい等)を作り、他の関節や筋肉に負担になります。
これはボート部時代にトレーニングで体を壊した自分の教訓でもあります。
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筋肉群のアンバランスの原理
(股関節へのアプローチでは特に重用!)
●運動筋の短縮と緊張
速筋線維が豊富、運動性に優れる大きい筋群で、過緊張・短縮傾向にある。
ハムストリングスと大腿直筋(太ももの筋肉)が良い例。
●支持筋の弱化
抗重力筋。遅筋線維(小線維)が豊富で、深部で靭帯と協力して関節の位置を安定させる筋。使わないと弱化する傾向にある。殿筋郡(お尻の筋肉)が良い例。
●運動筋の過緊張による問題点
@柔軟性低下で関節運動が妨げられる⇒他の関節や筋肉がストレスを受ける。
A過緊張により、拮抗筋が抑制される。
(相互神経抑制:緊張した大腿直筋は大殿筋の活動を抑制する)
●虚弱な支持筋の問題点
・関節の中のある位置を維持することが出来ない。
・抗重力筋としての機能を果たせない。
・周囲の関節で過可動性と炎症を引き起こす。
支持筋群は短時間の筋力テストでは強いかもしれないが、長時間の等尺性収縮では弱い。これは一般的な筋力テストで異常を診断するのは難しいことを意味します。
支持筋群の機能が低下すると関節が不安定になる。これをカバーするために周囲のの運動筋が緊張して補整する。
例)中殿筋の機能低下⇒コウノトリテストでの骨盤の安定性低下⇒TFLと腸脛靭帯の緊張で補整⇒軸足側の骨盤が持ち上がる
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