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私が行っているフランスのオステオパシー「メカニカルリンク」の診断を用いた素晴らしい治癒例の一つを紹介します。
図1:第二中手骨の切断部位
患者さんは50代男性。
若い頃より農業と林業に従事し、10代で人差し指の根元(第二中手骨)を不意にチェーンソーで切断したと言う外傷歴がありました。
5年前から肩が痛くてほとんど動かせなくなり、長野の私の患者さんより紹介を受けて飯田橋まで来院されました。
1回目の来訪時に検査を行うと
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脊柱・骨盤・胸郭後面のユニット⇒仙骨第3分節、第2-3頸椎分節
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胸郭前面⇒右の胸鎖関節
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内臓⇒十二指腸
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上肢⇒右肘
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下肢⇒左膝
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骨内力線⇒右の第二中手骨の長軸ライン
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頭蓋⇒左の小脳テント
に優位なオステオパシー病変が見つかりました。
これらに抑制バランス検査を行うと、主要病変は右の肘であることが分かりました。
オステオパシーでは本来、内臓や頭蓋などどこかの病変を特別視することはありません。また、何かの過去の外傷を特別扱いすることもありません。
術者が何かの意図をもって、ある病変を特別扱いしてしまうと正しい診断ではなくなります。術者がすべきは、患者さんの体の声に耳を傾け、それに従った診断をすることなのです。
この患者さんに私は、
「切断部位の影響は必ずあるのですが、今の時点であなたの体は右肘の緊張を一番訴えていますよ」
と説明し、ここから治療を始めることに了解を頂きました。
右の肘の矯正後、上肢全体へと筋膜の連続リリースを行うと、腕が最初の2倍近く上がるようになりました。ただ挙上時の痛みがまだ残りました。
*2週間後
再び彼を診ると、今だかつてないほどの筋肉痛が3日ほど腕に出てビックリしたと言われました。特別に運動をしたわけではないのです。
この筋肉痛は明らかな好転反応です。
今まで肩関節が動かず、肘を固めて動かしていた時の緊張が一気に解放されたためです。1回目の治療で肘を介して頸椎の病変も調整されていますので、治療後に上肢への神経伝達が正常化し、上腕から肘の筋肉が自然な張力を取り戻し始めているのです。筋の収縮と弛緩が適正なバランスに落ち着くまで、筋肉痛として違和感が生じることが良くあります。
もちろん血流回復に伴う痛みも含まれるでしょう。
長らく硬まって動かせなかった損傷部位に血流が回復し出す時、血管拡張による神経の圧迫で痛みが生じます。老廃物に含まれる発痛物質が痛みの感覚を刺激するのかもしれません。
霜焼けの回復時の痛みや不快感も似たような例と言えます。
2回目の検査で見つかった主要病変は、右の第二中手骨の長軸ラインでした。
すなわち、彼の切断した指に直接関わる病変でした。
指の切断部位を治療していくと、彼はとても気持ちが良いといって喜びました。
20分近く治療した後、腕を挙げてもらうと肩の痛みと上腕の筋肉痛がほとんど無くなっていました。もちろん腕が180度近く挙がったわけではないのですが、痛み無く挙げられることに彼は十分満足していました。
私の経験ですが、主要病変と外傷部位が検査時に一致するタイミングがあります。
その時に外傷部位を初めて治療します。
この時の効果は驚くべきものがあり、主要病変を正しく診断することこそオステオパシーの醍醐味と言えるでしょう。
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